「ひっ……くぅ、んっ……ぁぁ……、ぅんっ……」
 永遠に続くのではないかと思われるような、気が遠くなるほどの快感。
 もう絶叫するほどの元気も残っていなくて、喘ぎ声はいつしか啜り泣きめいたものに変わっていた。
 上村くんが、私の中で暴れている。
 彼の大きな男性器が私を貫き、いちばん深い部分を激しく突き上げる。
 いったい、どのくらいの時間こうしているのだろう。
 彼が入ってきたのは、もう遠い昔のことのように思える。おそらく一時間以上、片時も休まずに上村くんは私を犯し続けているのではないだろうか。
 いつも、こう。
 私自身の男性経験は他に一人しかいないが、クラスメイトの話を聞いても、上村くんのセックスは世間一般の男の子よりもかなり長いように思う。
 彼はその間激しく私を責め続け、私はずっと腰を動かしながら喘ぎっぱなし。終わった時にはへとへとで、今にも失神しそうな状態になってしまう。
 だけど……それがイイ。
 体力が尽きるまで続く激しいエッチに身体は泥にでもなってしまったような感覚で、意識は朦朧としていて、だけどやっぱり「もっと」って思ってしまう。
 だけど……
 上村くんは、どうなんだろう。
 最近、それがすごく気になっていた。

「……リカ、なんか言いたいことある?」
 私の顔を覗きこんで、上村くんが訊く。
 どうしてわかってしまうのだろう。普通に話している時ならともかく、エッチで喘いでいる顔を見て。
 犬とはテレパシーじみた能力で意思の疎通ができる上村くんだけれど、同様に私の考えも読めてしまうのだろうか。確かに、彼にとって私はペットであり、クラスメイトよりもむしろ飼い犬に近い存在ではあるけれど。
「ん、と……あのね?」
「ん?」
「私の、って…………、気持ちよくない?」
 気になっていたことを、思い切って訊いてみる。
「……リカの、なに?」
 一瞬だけきょとんとした表情を見せた後、上村くんは訊き返す。
 その悪戯な笑みを見るに、質問の意味が理解できなかったのではなく、わかっているくせにわざと訊いているようだ。
 私の口から、もっとはっきりと言わせようとして。
「わ……わ、私の…………おまんこ」
 語尾は文字通り蚊の鳴くような声になる。恥ずかしくて顔から火が出そうだ。
 目的を達して上村くんは満足げな笑みを浮かべる。
「どうしてそう思う?」
「だって…………上村くんのエッチって、すごく激しいのに、すごく長いんだもん。絵美ちゃんとかに聞いてみたけど『入れてから一時間以上動きっぱなしなんてありえねー!』って言ってた。だから……私のが気持ちよくなくて、いけないのかなぁ……なんて」
 私にとって上村くんとのエッチは最高に気持ちのいい行為なんだけれど、上村くんにとってはそうじゃないんだとしたら申し訳ない。
 だけど上村くんは、それを聞いてぷっと吹き出した。
「リカのは最高だよ」
「……ホントに?」
「ホントに」
「最高?」
「最高」
「いちばん?」
「一番。……ま、俺が知ってるのはリカを含めて四人だけだけど、その中じゃ断トツ」
「本っっ当に?」
「本っっ当に。俺が、口先だけで女の子のご機嫌とるような男に見えるか?」
「いや、それはありえないけど」
「うわ、即答しやがったよコイツ」
 笑いながら、私の頭を軽く小突いてくる。
「じゃあ……なんで?」
「ンなもん決まってるだろ。気持ちイイからこそ一分一秒でも長く味わっていたくて、イクのを必死に我慢してる」
「……」
 思わず絶句してしまった。
「ガマンって……そんな無理しないでイケばいいじゃない。別に、何回したっていいんだから」
「でも男の場合、回数には物理的な限界があるからな」
「え?」
 一瞬、「なんのこと?」って思って。
 だけどすぐに、彼の言わんとしている意味を理解した。
「俺だってホントは毎日十回でも二十回でもリカの中に出したいんだよ。だけど悲しいことに人間の弾薬庫はそんなに大きくないんだ。だから限られた弾数で最大の戦果を上げるべく、日々精一杯の努力をしている」
「……上村くんってば」
 ここは笑っていいところだろうか。
 いや、笑っちゃいけないと思っても失笑してしまう。
「じゃあ、さ。私のはホントにイイのね?」
「イイどころじゃねーって。濡れ具合も、中のカタチも、締まりの良さも、やらしい腰の動きも、それこそありえねーってくらいにすげーよ」
「それはさすがに褒めすぎ……っていうか、これって褒め言葉になるのかな」
 もちろん、上村くんがイイと言ってくれるのは嬉しいんだけれど、自分がいかにいやらしい女の子かを思い知らされるようで、ちょっと複雑な気分。
「つか、最初っからすげーイイと思ってたけど、回数を重ねるたびにどんどん良くなってるような気がするんだが? 簡単にはいかないように俺も頑張ってるのに、最近どんどんそれが辛くなってきてるんだよな。お前、締めつけとか腰の動きとか、こっそり練習してない?」
「………………してる」
 うわ、バレてる。
「だって……気持ちよくなって欲しいんだもん」
 やだもう、死ぬほど恥ずかしい。
「良すぎだって」
「なら……いいんだけど。だったら、どんどんイって欲しいな? あまり我慢しすぎるのって、なんだか身体に悪そうな気がするし。それに……上村くんがイってくれた方が、私は嬉しいよ? あまり長くなると、私、途中で気を失っちゃうこと多いし」
「失神してても十分すぎるほどイイけどな」
「でも、それじゃ上村くんがイクところが見れないもの」
「え?」
「上村くん……私がめちゃめちゃに感じてイクところを見るの、楽しい?」
「とーぜん。そのために頑張ってるんだから」
「私だって、上村くんがイクところ、見たいよ?」
 そう言うと、上村くんは目から鱗が落ちたような表情を見せた。
「女の子も、そーゆーもん?」
 こくん、とうなずく。
「大好きな人が私ので気持ちよくなってくれて、いっぱい出してくれたらすごく嬉しい」
「そっかー、うん、考えてみたらそうだよな」
 上村くんもうんうんとうなずく。
「しかし、これだけやってても、まだまだお互いのことわかってない部分もあるんだな」
 笑いを堪えているような表情。
「……うん」
「やっぱアレだな。遠慮せず、もっといろいろと話し合ったり、自分の要望を伝えたりするべきだな」
「うん、そうだね」
 やっぱり、普段ろくに話もせずにエッチを始めてしまうのが問題だろう。
 エッチなしでゆっくり話をしていられるのは、学校やラッキーの散歩をしている時くらいのもので、あまりエッチな話題は持ち出せない。
 でも今日は、ちゃんと話ができてよかったと思う。ずっと不安に思っていた大問題が解決できた。
 もっともこの件については、「自分のがあまりよくないのでは」という不安から、締めつけとか腰の使い方とかをこっそり練習して、結果的によりいっそう上村くんに気持ちよくなってもらえたのだからよしとしておこう。
「……じゃあ、この機会にもうひとつ、言ってもいい?」
 せっかくだから、この機会に胸につかえていることを全部吐き出してしまおう――そう思って私は言葉を続けた。



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