「梨花、心の準備はいいか?」
「……いいわけないじゃない!」
 無駄だとわかっていながらも、叫ばずにはいられなかった。
 深夜の厩舎に私の声が響く。
 そう、厩舎だ。
 あの、初めて馬と人間との動画を見せられた日から三ヶ月。
 ついに、連れてこられてしまった。
 十八歳になって車の免許を取ったばかりの上村くんに「ドライブに行こう」と誘われて、着いたところは静内町で牧場を営んでいるという、上村くんの親戚の家だった。
 あれ以来、馬の話題を持ち出されることがなかったので、すっかり忘れていたのだけれど、上村くんは諦めていなかったのだ。
 馬に、私を犯させることを。
 逃げだそうにも、もう手遅れだった。
 私は裸にされて、馬に似せた形に組んだ木枠に、前屈みに縛りつけられていた。ちょうど、本物の馬であればお尻にあたる位置で、腕と脚を木枠にしっかりと固定されている。
 この状態で、馬とさせようというのだ。わざわざこんな手の込んだ準備をしたのは、私と馬では身体の大きさが違いすぎるので、まともにのしかかられて怪我をするのを防ぐため。
 上村くんもよく考えたものだ。本当に、エッチなことには頭が回るし、労力を惜しまない人だ。
「ねぇ、やめてよぉ……本当に……」
「だーめ。ここまで来て、やらずに済ます手はないだろ。何事も経験だって」
「こんな経験、したくないよぉ……や、あぁんっ!」
 女の子の部分に、冷たいものが触れる。
 ローションを塗った上村くんの手だ。割れ目の周囲に、そして中に、たっぷりと塗りつけていく。
「なにしろ馬とするんだからな。滑りをよくして、よくほぐしておかないと」
「それでも無理だって! やぁんっ、あっ、やぁぁっ!」
 指が入ってくる。
 一本……二本……三本。
 膣口がいっぱいに拡げられていく。
「なんだ、もう感じてンじゃん?」
 上村くんが面白そうに言う。
 そりゃあ、感じてしまうのは仕方がない。
 上村くんの指で愛撫されて、しかも大量のローションでぐちゃぐちゃにされているのだから。
 そしてこの後には、とんでもなく変態的な行為が待ち受けているのだ。それを思うと、興奮しないといえば嘘になる。
 だけど、それをしたいかとなると別問題だ。
 想像するのは興奮する。しかし、実際にするのはいろいろと無理があると思う。
 興奮した牡馬のいななきに、私はびくっと震えた。横を見ると、大きな黒い馬が前脚で地面を引っ掻いている。
 その馬の股間からは、信じられないくらいに長くて大きなものがぶら下がっていた。
 まるで野球のバットのような大きさの、馬のペニス。明らかに勃起した状態だ。
 馬の種付けをする時には、一種の催淫剤を投与するという話を聞いたことがある。上村くんのことだから、そこまで用意していたのかもしれない。
 全身に鳥肌が立った。この巨大な生物からは、興奮した牡が発する独特のオーラを感じる。それは、ラッキーや上村くんから感じるのと同じもの。
 つまりこの馬は、私を犯す気満々なのだ。
「重賞で勝ったこともある、なかなかの名馬だぞ。うんと楽しめよ」
「できるわけ……な、い……いやぁ……あんっ、あぁっ」
 上村くんの指が、私の中をかき混ぜている。体温でとろけたローションと私自身の蜜が、溢れ出て内腿を滴り落ちる。こんな状況下でも感じてしまう、自分の身体が恨めしい。
「さて、そろそろいいか?」
「やだっ! やめて、お願い。上村くんのばかぁっ!」
「いい顔だな、梨花の泣いてる顔って、俺、滅茶苦茶そそられる」
「ばかっ! 変態っ!」
 いくら罵声を浴びせたところで、上村くんはこれっぽっちも痛痒を感じていない。期待に満ちた表情で、興奮した牡馬を連れてくる。
 荒い鼻息が背中にかかる。体温を感じる。
 大きな影が、背後にのしかかってくる。
 ギシ……ギシ……。
 縛りつけられている木枠が軋んだ。私の身体に馬の体重が直接かかってくるわけではないが、えもいわれぬ圧迫感と重圧を感じる。
「あ……やっ!」
 上村くんの手が、私を拡げる。もう一度、ローションをたっぷりと流し込んでくる。
 そこに、熱い、大きな物体が押しつけられる。
「ひ……ぃ、あぁっ……、ん、ぐ……ぁ」
 ぐいぐいと押しつけられて、膣口が拡がっていく。無理やり、押し込まれてくる。
 すごく、すごく、信じられないくらいに大きい。
 拡げられていく。上村くんやラッキーを受け入れる時よりもずっと大きく、皮膚や粘膜の弾力の限界まで拡げられてしまう。
「い……たぃ……、いぃっ……あ、がぁ……」
 痛い。
 限界まで拡げられ、引っ張られ、裂けてしまいそうなびりびりとした痛みが走る。
 ラッキーの瘤を受け入れる時の感覚に、少し似ている。
 だけどあれは、限界まで拡げられるのは一瞬のことだ。丸い形状の瘤、入口さえ通り抜けてしまえばいくらか楽になる。
 だけど、これは違う。
 巨大な馬のペニスは、全体がラッキーの瘤に匹敵する太さがあった。
「ひ……いぃ……、う……ぁあっ」
 ずぶ……。
 ついに、先端部が入口を通り抜けた。膣をいっぱいに拡げられる痛みが、奥へと進んでくる。それが途中で止まった、と思った瞬間。
「ひっ……いぃぃっ! うぁっ、あぁぁぁっ!」
 ずぅんっ!
 太い杭で身体を貫かれたような衝撃に襲われた。本当に、下半身が裂けてしまったかと思った。
「あ……ぁぁ……、や……ぁ…………、……っ」
 私は、牡馬に奥まで串刺しにされていた。
 悲鳴すら上げられなかった。
 涎と涙が噴き出してくる。
 信じられないくらいに、大きかった。
 信じられないくらいに、太かった。
 性器が引き裂かれる感覚。
 身体の中心を杭で貫かれる感覚。
 私の小さな膣は、長大な馬のペニスに陵辱されていた。
 初めての彼のもの、ラッキーや上村くんのもの、上村くんに挿れられたバイブ等々。そのどれよりも太くて長かった。
 一番奥まで届いて、さらにぐいぐいと押し込んでくる。お腹の奥を、突き上げてくる。
 痛い。そして苦しい。
 限界まで引き延ばされた粘膜が、悲鳴を上げていた。
「うぅ……あ、が……ぁ……。い……いぃ……う、ぐ……ぅ」
 嗚咽とも、喘ぎ声とも判断のつかない声が漏れる。
 気持ちいい、というのではない。しかし、単なる苦痛とも違う。形容しがたい感覚に襲われていた。
「奥まで入ったか? どうだ、感想は?」
「……あ、ぁ……ぁ……あぁっ!」
 そんなこと訊かれても、答える余裕なんてあるわけがない。私にできることといえば、ただ涎と涙を垂れ流して、意味のない声を上げるだけだった。
 私は今、馬とセックスしているのだ。考えただけで、頭がおかしくなりそうだ。
 奥まで完全に結合したことを確認した上村くんは、一歩離れてビデオカメラをこちらに向けている。あのカメラに、私はどんな風に映っているのだろう。
 興奮した牡馬がその巨体を揺すり始めると、そんなことを考える余裕もなくなってしまった。
「ひぃぃっ! あぁっ! がっあぁぁっ!」
 ただ受け入れるだけでも苦しい巨大な性器が、乱暴に膣壁を擦っていく。
 裂けてしまう。本当に裂けてしまいそう。
 ずぅんっ!
 ずぅんっ!
 信じられないくらいに長いストロークで、何度も何度も打ちつけてくる。
 膣を突き破られてしまいそうな勢いだった。
 痛くて。
 苦しくて。
 身体の中から内臓を突き上げられる感覚に、吐き気が込み上げてくる。だらしなく開かれた口から、胃液の混じった涎が滴り落ちる。
「やぁぁぁっ! あっ、あぁぁっっ! やぁっ……やめっ! ひぃぁぁぁっっ!」
 ギシッ、ギシッ!
 私が縛りつけられている木枠が軋んでいる。
 興奮した牡馬が、体重を乗せて身体を揺すっている。
 ずぅんっ、ずぅんっ!
 巨大な杭が、私に打ち込まれている。
 人間の小さな女性器を、巨大な馬のペニスが引き裂こうとしている。
 私の身体を、突き破ろうとしている。
 この感覚、あれに似ている。
 時代劇で、大勢の兵士が太い丸太を抱えて、敵の城門を打ち破ろうとしている光景。
 私の華奢な身体も、今まさに壊されようとしている。
 ずぅんっ、ずぅんっ!
 何度も、何度も、打ちつけられる。
 馬のペニスは、私の膣の奥行きよりも何倍も何倍も長い。このまま膣を突き破られて、喉まで達してしまいそうな気がする。
 スプラッタな光景だ。
 だけど、自分の目でそれを目にすることはないだろう。
 そんなことになったら、もちろん私は死んでしまうに違いない。それ以前に、頭の方がおかしくなりそうだった。
 おかしくならない方が、どうかしている。
 私、人間なのに。
 人間の女の子なのに。
 こんな異常なことをさせられて、正気でいられるはずがない。
「ひぃああっ! あがっ! あぁぁぁっ!」
 馬に、犯されて。
「いやぁぁっ! ひぃぃっ! あっ……わぁぁっ!」
 ヴァギナが、引き裂かれそうになって。
 身体を串刺しにされて。
「い……やぁぁ……、あぁ…………あ……ぁ」
 泣きそうなほど、痛いのに。
 死ぬほど、苦しいのに。
「あ…………ぁ……、あ……」
 限界を超えた異常な行為。限界を超えた苦痛。
 私はもう、おかしくなってしまったに違いない。
「あぁ……ぁっ、あはっ……あぁぁ」
 だって。
「ひぃ……あ、い……イイ……あぁぁっ……あっはぁぁ……」
 いつの間にか私は、この行為を気持ちよく感じていた。
 だらしなく開いた口は、もう悲鳴を上げることはない。
 激しく突かれるたびに、唾液の泡を飛び散らせながら、力のない喘ぎ声を漏らすだけだ。
 痛みは、もう感じなかった。
 内腿を滴り落ちているのは、溢れ出たローションだろうか。それとも、私自身の蜜だろうか。もう、足首まで届いている。
 頭の中が、真っ白になる。
 わけがわからなくなる。
 このまま気を失うのかな……と思った瞬間。
「――っ! ――――っっ!? あぁぁぁ――――っ!」
 私の胎内で爆発が起こた。
 途切れかけていた意識が、現実に引き戻される。
 すさまじい衝撃だった。
 私を犯していた牡馬が射精したのだ。
 それは、麻痺しかけていた私の感覚を、一気に呼び覚ますだけの激しさがあった。
 人間の射精は量もたかがしれているし、一瞬のことだ。
 ラッキーのは人間よりも量は多いけれど、滴るように流れ出るそれは、一気に噴き出す感じはない。
 だけど馬の場合は、ペニスのサイズ同様に、射精も桁違いだった。
 例えば、水道につないだ太いホースを子宮口まで挿入されて、一気に蛇口を開けられたら、こんな感じではないだろうか。
 それは試験管ではなく、コップで量るのが相応しいような量だった。
 膣は一ミリの隙間もなく巨大なペニスで塞がれていたから、先端から噴き出した液体は行き場を失い、一気に子宮へと流れ込んできた。
 その衝撃と激痛に、失神しそうになる。
 薄れていく意識の中で、私を貫いていた杭が抜け出るのを感じた。下半身に大きな穴が空いたような、奇妙な空虚さを覚えた。
 栓を抜かれた膣から噴き出した液体が、びしゃびしゃと水音を立てて落ちる。
 少なからぬ血が混じってピンク色に染まった精液が、足下に水溜まりを作っているのをぼんやりと見ながら。
 私は今度こそ気を失った。



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