■DoRide 本舗の耐久

主催 DoRide
開催場所 石狩川河川敷
車種 MTB
概要 4時間耐久
クラス ソロの部

 午前6時。
 相変わらず天気が悪い。雨はピークを過ぎたようだが、風は昨日よりも強そうだ。
 走れないほどではないが、進んで走りたい天候でもない。それでも本部テントが張れて石狩川が増水していなければ、レースは開催されるだろう。
 昨日のうちに準備は済ませておいたので、半ば諦めの気持ちで家を出た。
 たぶん、怪我がなければ家で寝ていただろう。しかし手稲大会やツール、市民大会をキャンセルし、無理して走った藻岩は本来のパフォーマンスにはほど遠い状態で、このままシーズンを終えるには不完全燃焼だった。
 それに雨中レースというのは走り出すまでは嫌なものだが、いざスタートするとなぜか妙にハイテンションで楽しめるものだ。
 ――後片付けではまたうんざりするのだが。

 現地の雨は小降り。川も思っていたほど増水していない。テントもなんとか立っている。
 悪天候の割に、首や背中の状態もさほど悪くない。
 これなら問題はないということで、すぐに準備に取りかかった。

 ハイドラパックにはメダリスト3+グリコーゲンリキッド1のスペシャルドリンク。今日の気温では消費量は少ないだろうということで1.2リットル。
 他に真水のボトルを1本。
 補給食はパワージェル4個にミニ羊羹2個。奥の手の黒蜜は、ウィンドブレーカー着用でジャージの背中ポケットが使えないので置いていく。

 平坦コースでマッド区間も意外と少ないので、バイクはサスもタイヤも上限ぎりぎり近くの固めのセッティング。
 リヤメカのワイヤーを調整して準備完了。

 9時30分、予定よりやや遅れてレースは始まった。
 私は2列目からのスタート。前の方は主にやる気のある面々が固めているので、一気にペースが上がる。
「ホントに4時間走るつもりがあるのか?」といいたくなるようなハイスピードだが、いちおう仮にも入賞圏内を狙う身としては、このペースについていかなければならない。
 とはいえ、ペースメーカーの見極めは重要だ。
 チームでの勝ちを狙っているであろう目玉2人衆やGスパ虎、あるいはO野寺選手などについていったら早々に自滅してしまう。
 マークするのはあくまでもソロの上位陣、T中さんやK藤さん、M本君あたりだ。

 2周もすると隊列はかなり長く伸びてきた。先頭集団にはやや離されたがまだ射程距離、というところでペースが落ち着き始める。
 おそらくソロの上位5位以内には入っているだろう。悪くないポジションだが、多少無理しても前との差をもう少し詰めておいた方がいいかもしれない。
 そう思ってペースを上げたところで、痛恨のメカトラに見舞われる。
 コーナーを強引に攻めすぎて、灌木の枝をリヤメカに巻き込んでしまったのだ。
 がっちり喰い込んだ枝を外すのに手間取り、先頭からは大きく後れてしまう。
 これでは先頭集団に追いつくのは無理だ。もともと向こうの方が速いのだから、目に見える目標なしでは追えない。無理してペースを崩せば後半バテてしまう。
 前を追うのは諦め、安定したペースで走ることを意識する。トラブルの間にどれだけ順位を下げたかわからないが、まだレース序盤、自分のペースで4時間走りきれば、入賞圏内に復帰できるのは間違いない。

 あまり無理をしなかったせいか、最初の1時間はあっという間に過ぎた。
 今回はわざとサイコンを距離表示にして時間を見ないようにしていたので、「え、もう1時間?」という感覚だ。
 これまで走った耐久レースで、1時間がこんなに短かったことはない。天狗山や藤野で感じた不自然な疲労感や脱力感もない。背中と首が痛いのは普段と変わらない。いつになく身体は快調だ。
 しかし油断はできない。まだあと3時間もあるのだ。
 まだ空腹や疲労はあまり感じていなかったが、それを感じてからでは手遅れになると、早めにパワージェルを補給した。

 1時間を少し過ぎたところで、O野寺選手にラップされた。
 いくらなんでも早すぎる。
 しばらくついていって走りを勉強しようかと思ったが、300mと行かないうちに諦めた。速度が違いすぎる。こんなペース、1周だけでも脚にダメージが残りそうだ。

 続く1時間、その次の1時間は、やっぱり少し長く感じた。
 なにしろメリハリの少ない平坦コースを淡々と走っているだけである。同一周回を競っている選手が近くにいれば緊張感もあるだろうが、抜くのは遅い周回遅れの選手だけ、追い越していくのは激速の上位陣だけ。
 変速操作をする回数も少ない。フロントはアウター固定で、リアも平坦直線、コーナー、登りでひとつずつチェンジするだけ。
 同じ操作を機械のように繰り返して走り続けていると、知らず知らずのうちに疲労が蓄積して集中力が落ちてくる。
 シフトチェンジやコーナーのライン取りのミスが増えてきたなと気づいたところでパワージェルを補給。
 それで2周くらいは元気に走れる。その後はまたペース維持に専念する。
 毎周回、直線区間とブレーキ不要のコーナー区間で速度をチェックする。大丈夫、かなり疲れてきてはいるが、スピードはほとんど落ちていない。
 上位陣の順位も落ち着いてきているようだ。自分は6〜7位くらいを維持しているようだが、強風のために途中経過も聞き取りにくく、どうもはっきりしない。
 とりあえず前も後ろも、見える範囲に同一周回で順位を争っている選手は見あたらない。
 ソロの選手に抜かれる時には注意を払うが、それはみな遙か先を行っている上位選手。逆にこちらが抜く選手は、既にラップ済みの見覚えのある背中ばかり。
 怪我の後遺症である上腕と腰の痛みを堪えながら、淡々と周回を重ねていく。

 いよいよ残り時間30分。
 最後のパワージェルを摂り、ドリンクを多めに飲む。ハイドラパックの中身は最後までもちそうだったので、軽量化のためにボトルを捨てる。
 ざっと計算して、あと4周。
 気合いを入れ、ペースを上げる。
 このまま行けばおそらく入賞圏内、ここで順位を下げるわけにはいかない。もしも前を行く選手にメカトラでもあれば、順位を上げる可能性もないわけじゃない。
 力を振り絞る。
 残り3周……2周……計算通り、残り時間3分弱で4周目に突入。
 あとはフィニッシュラインまで走るだけだった。


 てなわけで、私にとっての今季最終戦である4耐は、周回数34周でソロの部5位入賞。
 もう少し頑張れたんじゃないかという気もしますが、とりあえず怪我のせいで走り足りなかった分は取り返したというところでしょうか。
 7月の4耐がグダグダだったのに比べると、体調の割には意外としっかり走れました。
 来シーズンは、耐久でももっと追い込んだ走りができるようになるのが課題ですね。

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