■第25回道新杯自転車ロードレース大会

主催 北海道自転車競技連盟
開催場所 長沼水郷公園
車種 ロード
概要 周回コースでのポイントレース
クラス S-2(16周回)

どうしてこんなに平らなんだろうなぁ……
 試走をしていて、思わずそんなつぶやきが漏れた。
 3周を軽く流して、4周目は少しスピードアップ。最後のストレートでスプリントするものの、フィニッシュラインにたどり着く前にヘタレてしまう。

 ……てなわけでロードの開幕戦、道新杯。
 ド平坦で距離が短めで、風が強くて、おまけに去年は初ロードレースで肋骨を折ったという、非常にゲンの悪いレースである。
 先週に引き続き、試走をしていてもテンションは上がらず。
 オマケに久々の早起きということで眠くて仕方がない。
 S-2クラスのスタートは13時10分なので、開会式の後でひと眠りしようかとも思ったものの、やっぱり他のクラスのレースにも興味があり、結局寝るタイミングは逸してしまう。

 11時30分頃からぼちぼちとアップを始め、12時45分頃終了。
 とりあえずスタートで出遅れるクセはなんとかしようと、最前列に並ぶ。
 その甲斐あっていい感じにスタートは切れたものの、その後の展開が読めない。
 なにしろポイントレースは初めてのことである。
 2周目あたりで一度前に出てみたものの、向かい風区間が予想以上にきつくてすぐに後ろへ下がってしまう。
 しかしそのせいで前に出るタイミングを逸し、最初のポイントはまともにスプリントに参加できず10位くらいで通過。

 このままではいけない。
 今日の目標は、ひとつでもいいからポイントを獲ることだった。長沼でそれができれば、主目標である大滝やサロベツはちゃんと『レース』ができる。
 それに、いくら平坦スプリントが苦手とはいえ、何もせずにただ走るのは性に合わない。
 いい成績を目指すのは当然として、それが無理でもせめてどこかでレースを動かし、観客の前で見せ場を作りたい。

 一応、作戦はひとつだけ考えていた。
 まともにスプリントになれば、S-2で私より遅い選手はおそらく皆無。スプリント勝負はできない。
 昨年の経験から、スプリントポイント前の1周はかなりペースが上がると予想できる。
 ならば2周前に仕掛けて、そのまま逃げ切ることを期待するしかない。

 6周目→7周目のホームストレートで、所謂『自爆覚悟の超マジなアタック』を仕掛けた。
 数百mを踏み倒し、集団との差を広げる。
 バックの向かい風区間を単独でなんとか乗り切り、追い風のホームストレートで加速して8周目に入った。
 パークゴルフ場受付のあたりで後ろを振り返ると、予想以上に差が開いている。
 追撃はかからなかったようだ。差が開いてしまったので追うのを諦め、2位狙いの牽制に入っているのかもしれない。
 あと1kmちょっと、このまま逃げ切れるかもしれない。
 歯を食いしばって向かい風区間をクリア。クランクを抜けてもう一度後ろを振り返る。
 大丈夫、後ろがミルラムトレインでもない限り安全距離だ。
 残り数百mは重いギアで速度を維持し、2回目のポイントを1位通過して5ポイントゲット。思わずガッツポーズが出る。

 しかし、向かい風の強い今日のコンディションで2周強の逃げはさすがに限界だった。
 脚を止めて一度集団に戻り、とりあえず呼吸を整える。
 逃げで1位ポイントを獲って、独走で3度観客の前を通過したわけだから、今日の目標は達成したといってもいい。
 とにかくしばらくは回復に専念する。脚はもう限界に近い。向かい風区間は52-21Tで33km/hでもキツイというていたらくだ。
 できれば回復するまでフロントインナーを使いたいところだったが、スタート直前になって、アップ時には問題なかったフロントディレイラーが急に機嫌を損ねてしまい、シフトアップが上手く動作しない可能性があったのでそれもできなかった。

 それでもなんとか呼吸は落ち着いた頃に、3回目のスプリントポイントが来る。
 みんな余裕ないのか、飛び出してくる選手は少ない。
 前の方のいい位置からスプリントに参加できて、なんとか4位通過で1ポイント追加。

 残り4周。
 もう本当にいっぱいいっぱいだ。
 14周目の後半に一人の選手が少し飛び出すが、追撃のペースも遅い。
 15周目に入ったところで、一人が追い始める。この頃の記憶は曖昧だが、おそらく1位になった大学生だったろう。
「頑張って吸収するぞ」と周囲に声をかけつつ前に出ていく。協力したいのは山々だが、こちらもついていくのがやっとで前に出る脚はない。

 それでもなんとか集団に吸収して最終16周目。
 最後のアタックを試みる。
 前回のような大逃げは無理だろうが、ここで20〜30mくらいの差をつけられれば、最後にスプリントで差されても上位でゴールできるかもしれない。
 ……が、さすがにこれを見逃してくれるお人好しはいない。
 ぴったりマークされていた上、限界のもがきで吐き気が込み上げてきたので、胃を押さえてひと休み。

 その後は若干の牽制が入りつつも、ペースは極端に落ちない。
 後ろを振り返る余裕もないが、数名のDNFも出ているはずで、先頭争いができる面子はかなり絞られているのかもしれない。後ろの選手がガンガン飛び出してくる様子はない。
 クランクを抜けて位置は3番手。追い風区間に入る直前、先頭の選手が立つのに合わせて腰を上げる。2番手の選手が一瞬遅れる。
 あとはもう踏むだけだ。
 ここ数日練習してきた、効率のいいスプリントフォームもなにもお構いなし。
 ただ、雄叫びを上げながら最後の力を脚に注ぎ込む。
 全力スプリントを続けるには、ゴールまでの距離は長い。
 一人に抜かれる。
 ゴールスプリントで抜かれまくった、昨年のツールや市民大会の記憶が甦る。
 しかし次が来ない。予想以上に後ろはばらけているのだろうか。
 とにかく踏み続ける。
 なんとか3位でゴールできるか……というところでもう一人に差されて4位でフィニッシュ。

 結局、獲得ポイントは0、5、1、2(最終ポイントは2倍)の合計8。
 同ポイントがいたので最終着順の差で惜しくも4位。
 ゴールラインがあと10m手前だったら表彰台に立てたかもしれないが、しかし、長沼のレースということを考えれば満足のいく結果だ。
 平地でこれなら、大滝やサロベツ、藻岩ではもっといい走りができるに違いない。
 ……大滝のS-2クラスには、今回参加しなかった強力なクライマーが出てくるというのはとりあえず考えないことにして(笑)。

 ……とはいえ。
 どヘタレだったスプリントが急に強くなったのかというと、実はそうでもなかったりする。
 レース展開を振り返ってみると、1回目はスプリントに参加できず、2回目は2周前からのエスケープに成功、3〜4回目はロングスプリントでいち早く飛び出し、なんとか粘って4位に入ったもの。
 つまり、真っ向勝負のスプリントでは誰ひとり抜いていないのである。

 それでも、平地でもレースができたという点では大きな収穫だったことは間違いない。
 ……最終コーナーからゴールまでの距離が短く、ロングスプリントのできないモエレ沼でどう戦うかというのはまた別の問題である(苦笑)。

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