■第19回ツール・ド・北海道 市民クリテリウム

主催 ツール・ド・北海道協会
開催場所 モエレ沼公園
車種 ロード
概要 クリテリウム

 正直なところ、昨夜の時点では今日のクリテリウムは棄権するつもりだった。
 市民ロードはかなりハードで、全身の疲労といつもの膝の痛みに加え、左のふくらはぎと太腿にイヤな痛みがあったのだ。
 この体調で、そもそも勝ち目のないモエレのクリテリウムに出る意味があるだろうか。

 それでも一応は会場へ足を運び、軽く試走してみる。
 脚の痛みはなんとかなりそうだったが、ペースを上げようとしても脚にまるで力が入らなかった。
 栄養が足りていない。昨夜の夕食だけではカーボローディングが間に合っていないようだ。
 朝食は既に終えていたが、急いでカロリーメイトとクエン酸を追加補給する。
 それがどの程度役に立つかは走ってみなければわからない。
 さらに困ったことに、ボトルを忘れてしまっていた。
 たかだか十数km、20分ほどのレース。体力的にはボトルなしでも走れるが、精神的にきつい。
 どうしたものかと悩んだが、ツール関連グッズを売っていた売店でボトルを見つけて事なきを得た。
 あとはもう、脚が動くところまで走るだけだ。

 ところが。
 スタート前の招集場所でC-1/C-2クラスのレースを見ていると、大集団のゴールスプリントで落車発生。
 これで思いっきり萎えてしまう。
 落車・骨折は年に一度で充分すぎる。今日はとにかく安全に走ることにする。

 そしてC-3クラスのスタート。
 スタート位置は前から1/3くらいのところ。
 しかしクリートがなかなかはまらず出遅れてしまう。
 これはこれでちょうどいい。しばらくは集団の後半からレースの展開を観察していよう。

 先頭ではそれなりに激しい争いが繰り広げられているようだが、集団の中はのんびりしたもので、「こんなにゆっくりでいいの?」と言いたくなるようなサイクリング気分で進んでいく。
 その割に先頭に引き離される様子もない。
 とりあえず1周目は様子を見て、2周目から少しずつポジションを上げていく。
 前へ出ようとするY井くんの後ろについて少しだけポジションアップ。
 また様子見。
 先頭から一人飛び出した選手がいるが、集団は積極的に追おうとしない。確かに、この集団相手に単独で逃げるのは無理だろう。一度は開いた差も、半周ほどで詰まっていく。
 ここで一気に前へ出た。
 ホームストレートで逃げていた選手を捉える。
 向こうはもう限界のようで、一緒に逃げる様子もなく集団に吸収されていく。
 そこから先はひとり旅。
 このまま逃げ切れるわけはないが、とにかく一度はアタックするのが私の流儀。
 先頭を走っている限り、「なにかが起こる」可能性はゼロではないのだから。
 実際、この間に集団で落車があったらしく、少しだけ差が広がる。
 そのまま単独でホームストレート前を通過。
 実況で名前が呼ばれるのを聞いて「とりあえずノルマ達成」とうなずいた。
 なにしろモエレ沼でのツールとなると普段のレースとはギャラリーの数が違う。
 一度くらいは目立っておかなければならない。
 そうでもなければ、とてもやっていられない。
 集団の中にいれば楽なのに、勝ち目のない平地レースで、いい年して死にもの狂いに自転車を漕いでいるなんて。
 向い風になるバックストレートで歯を食いしばりながら、「俺、なんでこんなことやってんのかな」と自分に問う。
 バカみたいだ。
 それでも、やらずにいられない。
 ただ集団の中にいるよりも、こうした走りをする方がなにか得るところがあるだろうと言い聞かせて。

 やがて脚が限界に近づき、集団との差が詰まる。
 飛び出してきたY井くんと合流して二人逃げを試みようにも、やはり二人では集団に対抗できずに吸収される。

 そしてレースは終盤へ。
 ファイナルラップ、集団のペースが上がる。
 しかし私のモチベーションは上がらない。
 少し早めにスパートをかけるが、集団から飛び出すことはできなかった。
 先ほどの落車の光景が浮かんでくる。
 無理することはないかな、と思う。
 着に絡めないなら、10位だろうと30位だろうとさほど意味はない。
 もう脚も残っていないから……と無理なポジション争いには参加せずにアウトから安全に最終コーナーを回った。
 不利なコースのせいか前が開いている。「じゃあ、やるか」と遅ればせながらスプリント開始。
 最終コーナー手前で一度力を抜いたせいか、昨日よりは多少マシなスプリントだった。
 スプリント中は、抜かれた数より抜いた数の方が少しだけ多い。
 それでも三十余名の先頭集団の、中ほどでのゴールだったのだが。


 ……ってことで、完走したレースでは今シーズン最低位となる77人中17位。
 ちなみに先頭集団32人によるスプリントでした。
 もともとのスプリント能力の低さに、今回の体調とモチベーションを考えればこんなものでしょう。
 ツールのC-3クラスはS-3/S-4/V-2/V-3の混成ですし。
 私としてはむしろ「S-3もいる平地レースとしては意外とまともに走れたな」という感想です。
 まあ、次回から私もS-3クラスなので、まともに走れなきゃ困るんですけど(苦笑)。

 やっぱり年相応に(笑)、「集団で力を温存してゴールスプリント勝負」という戦法も身に着けましょうかね?
 あまり性に合いませんが、単独での逃げはサロベツや藻岩だけにしておいた方がいいかもしれません。

 今回はまったく勝ちにこだわっていなかったので、比較的余裕を持ってレースを観察することが出来ました。
 冷静に考えてみれば、私のスプリントが遅いのは間違いない話ですが、スプリントを仕掛ける位置やタイミングを見直すだけでももう少し順位を上げることは出来そうな気がします。
「トップスピードが遅いから」とやたらと早くにスプリントを始めてしまうのは、私の場合はかえって逆効果みたいですね。
 そのあたりのことは今後の研究課題としましょう。

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