「次は……こんな格好でしてみるか?」
 お兄ちゃんは私の脚を掴んで身体をひっくり返し、俯せにさせた。
 腰を軽く持ち上げられ、お兄ちゃんに向かってお尻を突き上げたような格好にさせられる。
 すごく恥ずかしい。
 これって、おまんこはもちろん、お尻の穴までお兄ちゃんにはまる見えになっている。
 なのにこちらからはお兄ちゃんの姿が見えないから、なおさら不安になる。
 こんな格好で、背後からお兄ちゃんに貫かれるなんて……。
『愛しあっている』というよりも『犯されている』って印象だ。
 だけど。
 だからこそ、どきどきしてしまう。
 ちょっと怖いけれど、でも期待してしまう。
 どきどき。
 ドキドキ。
 相手がお兄ちゃんなら、優しくされるんじゃなくて『犯される』のもいい。
 そんな、気持ちのいいドキドキ。
「あ……」
 お尻を掴まれる。
 濡れたあそこに、指じゃないなにかが当たる。
 ぐいっと押しつけられる。
「ん……っ! ふあ……ぁぁっ!」
 また、痛みが襲ってくる。
 まだ幼さの残る膣口が、いっぱいに拡げられる痛み。
 いちばん太い部分が通り抜ける瞬間に、限界まで拡げられる、引き裂かれるような痛み。
 続いて、破瓜の傷をこすられる痛み。
 そして、激しくこすられすぎて赤く腫れている膣壁の痛み。
 最後に、いちばん深い部分を突かれて、内蔵を内側から押し潰されるような鈍い痛み。

 だけど……

 そんな痛みなんかどうでもよくなるくらいに気持ちいい。熱く濡れた粘膜をお兄ちゃんのおちんちんでこすられることは、気が遠くなるほどに気持ちのいいことだった。
「あぁ……あはぁ……んっ! ぅン……っ! あんっ!」
 奥の奥まで、ぐぅっと突き入れられる。
 身体が前に押し出され、胸がベッドにこすられる。
「うぁ……っ、あんっ!」
 いちばん奥まで達すると、今度は抜けそうになるぎりぎりまで引き抜かれる。
 その時は膣の粘膜が引きずり出されるような感覚に襲われる。
 そして、また、いちばん深いところまで押し込まれる。
 その繰り返し。
 初めのうちは、本当にゆっくりと。
 だんだん、速く。
 それでも私の身体を気遣ってくれているのか、これまでに比べるとゆっくりとした優しい動きだった。その往復運動の激しさは、機関銃と、古い時計の振り子くらいの違いがある。
「はぁ……っ、あんっ、あぁんっ!」
 あまり激しくないおかげで、痛みは我慢できる。
 だから、気持ちいい。
 ひと突き、ひとこすりごとに、感じてしまう。
 身体が、心が、魂が震える。
 この体勢も、いい。
 今日、三回目のセックス。
 全部、違う体勢で、それぞれ感じ方もずいぶん違うと思った。
 一回目は、ぎゅっとしがみつくように抱き合って、全身が密着する感覚がよかった。
 二回目は、お兄ちゃんの上に馬乗りになって、すごく深く挿入され、真下から突き上げられるのがたまらなかった。自分で腰を振って、クリトリスがこすられるのもよかった。
 そして三回目。この、バックから突かれる体勢。
 まずなんといっても、羞恥心が段違いだった。お尻を突き上げた恥ずかしい格好で、無防備な背後から貫かれることに興奮してしまう。結合部だけで触れ合っている分、〈いやらしいことをしている〉という感覚も強い。
 あと、ストロークの長さ。身体の接触が少なくてお兄ちゃんも動きやすいせいだろうか、前後に往復する動きが大きい。それだけ、一往復あたりの刺激を受けている時間も長い。膣全体が、入口から奥までまんべんなくこすられている感覚だった。
「あぁ……んっ! あぁ……っ、あっ……ん! はぁんっ!」
 喘ぎ声に合わせてベッドがきしむ。
 ぬちゃぬちゃという、いやらしく湿った音が結合部から聞こえてくる。その部分はどんどん湿り気が増していくみたいだ。
「気持ちいいのか? すごく濡れてるぞ」
 やっぱりお兄ちゃんにも気づかれてしまった。恥ずかしいけれど、恥ずかしいからこそ、すごく感じてしまう。
「ばか……恥ずかしいコト言わないでよ……やぁぁんっ!」
 お兄ちゃんの台詞で、さらに濡れてしまう。私ってば、お兄ちゃんに恥ずかしいことをされると感じてしまうみたい。
「気持ち……っ、イイに……決まってるじゃ、ない……いィっ! あ……っ、や……っ! ぁあっ! イキ、そ……ぉっ!」
 まだ痛いのは変わりないのに、そんなことどうでもよくなるくらいに気持ちいい。
「俺もすごくイイ……この濡れ具合……たまんね。いい感じに締まって……う、く……」
 荒い鼓弓に合わせて、少しずつ動きが加速し、激しくなってくる。
 その分、痛みも増す……はずなのに。
「やぁぁ……っ! あっあぁぁーっ! あぁ――っ あぁぁ――っ!」
 それ以上に、快感の度合いが増していく。
 痛みの何倍も、気持ちいい。
 口から飛び出す絶叫は、痛みのためではなく、快感のため。
「イ……っ! イク――っ! あぁぁぁ――――っ!」
 視界がホワイトアウトする。堕ちていく感覚に全身が包まれる。
「う……っ、イクぞっ愛梨っ!」
 ひときわ大きな、強い、激しい、とどめのひと突き。
「お……っ、おにっ……、あぁぁ――っ! お兄ちゃん――っっ!」
 お腹の中に噴き出してくる熱い感覚と同時に、意識が途切れた。



 意識が戻って我に返ると、お兄ちゃんに腕枕されていた。
 全身が汗ばんで、倦怠感に包まれている。
 でも、心地よい。
「すっごい気持ちよかったな。愛梨もイったのか?」
「……うン……すっごく、よかった……」
 あそこが火照っている。
 熱を持って、じんじんと痺れている。
 ことが終わって少し落ち着いてくると、やっぱりひりひりと痛いけれど。
「二回目といい三回目といい、初めてした日にもう本番でちゃんと気持ちよくなるなんて、ホントに感じやすいんだな」
「……バカ」
 自分が本当にエッチな女の子に思えてしまう。
 恥ずかしい。
 やっぱり、初めての時は痛くて泣くくらいが「らしい」のかもしれない。なのに私ときたら、痛いことは痛いけれど、それ以上に気持ちよくて感じてしまっている。
「……私のせいじゃないもん。……これって絶対、お兄ちゃんが上手すぎるんだもん」
 私のせいじゃなくて、お兄ちゃんのせい。
 そういうことにしておく。
「いやいや。やっぱり、俺たちの相性が最高ってことだろ」
「……ば、バカ!」
 そんな、恥ずかしいこと。
 恥ずかしくて、嬉しいこと。
 そんなことを言われてしまったら……
「そ、そんなの……当然じゃない」
 嬉しすぎて、涙が出そう。
 それをごまかすために、自分から抱きついて濃厚なキスをする。
 お兄ちゃんも腕を回してくる。
 抱き合って、舌を絡め合う。
 キスも、回数を重ねるたびに気持ちよくなってくる。
 だから、そのせいで……
「ほ……本当に……か、カラダの相性……よすぎる、みたい」
 そう言っただけで、お兄ちゃんには通じてしまう。
「また、したくなった?」
「………………ん」
 嬉しいこと言われて、激しいキスをして。
 それだけでスイッチが入ってしまう。
 また、昂ってしまう。
 身体の奥が熱く火照ってくる。
 興奮して、下半身が疼いてしまう。
 したい。
 したくてたまらない。
 私ってば、どうなっているんだろう。
 今日、ロストバージンしたばかりなのに。
 もう、三回もしたのに。
 まだ、したい。
 まだまだ、したくてたまらない。
「でも、大丈夫か? ここ……」
 熱く濡れた部分にお兄ちゃんの指が触れる。
 そこはとても敏感な場所。あの激しい行為の後では、軽く触れられただけでも痛い。
「ん……痛いことは痛いけどさ。……でも、したいんだもの。あんまり激しくなくていいの。お兄ちゃんとつながっていたい」
 表情を見れば、お兄ちゃんも同じ想いだとわかる。
 だったらもう、するしかない。
 上目遣いに、甘えた仕草で見る。
 お兄ちゃんが開き直った顔で苦笑する。
「こうなったらとことんまでやりまくって、限界に挑戦するか。いちおう優しくするけど、辛いようならすぐ言えよ?」
「う、うん! 大丈夫」
 仰向けになった体勢で脚を掴まれ、大きく開かされる。
 お兄ちゃんの身体が脚の間に入ってくる。
「あ……ふ……ぁんっ! あぁぁっ!」
 ゆっくりと、だけど、深く。
 お兄ちゃんが、私の中に入ってくる。
 相変わらず固くて、大きくて。
 だけど、思っていた以上に気持ちいい。
 もう、これだけでイキそう。
 すごく、幸せ。
 腕を伸ばし、お兄ちゃんを抱きしめる。
 お兄ちゃんの腕が私を包み込む。
 ベッドの上で、ふたつの身体がぴったりと重なった。



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