セックス、したい。
 大好きなお兄ちゃんとひとつになりたい。
 私だって年頃の女の子、好きな男性との初体験には憧れがある。ぜひとも経験したい。
「おにい……ちゃん……んっ」
 下半身をこすりつけるように押しつけてくる。
 なにかが、あの部分に当たる。脚とも指とも違う独特の感覚。
 これが、たぶん、お兄ちゃんの……男性器。男の人の、おちんちん。
 割れ目に押し当てられる、熱い弾力。
 さらに腰が突き出される。入口に大きな塊が押しつけられ、割れ目が拡げられていく。
「あんっ……ん、んっ、んぅ……はぁんんっ!」
 固い弾力のある丸い塊が、じわじわと入口を押し拡げていく。一気に貫くという雰囲気ではない。私のことを気遣ってくれているのか、それとも単に、初めてなのですんなりとは入らないのか。
 お兄ちゃんの腰が小刻みに前後する。その一往復ごとに、徐々に膣口が拡げられ、少しずつ奥に入ってくる。途中から、拡げられる痛みも感じるようになってくる。
 それでもひと突きごとに、中から滲み出してくる蜜がお兄ちゃんを濡らして、それが潤滑液になって、滑りがよくなってくるのを感じた。
 ぬるり……という間隔。
「あぁっ……あっ……、あぁぁっ!」
 入って、きた。
 入口がいっぱいに拡げられる。
 そして、私の中に入ってくる。
 もう、押しつけられているだけではない。間違いなく、先端部分は私の〈中〉に在った。
「あっ……んふっ……ぅんっ、ン……あンっ」
「は……あっ……奥まで、挿れるぞ」
 体重を乗せて、ぐいっと腰を突き出してくる。その瞬間、これまでのただ押し拡げられるだけの痛みとは違う、激しい痛みが走った。
「あ……っ、あぁ――っっ!」
 悲鳴。
 そして歯を食いしばる。
 普段、感じることのない種類の痛みだった。
 これに近い経験といえば、冬、唇が乾燥している時に思わず口を大きく開けてしまい、唇の端が切れてしまった時の痛みだろうか。それを何倍も強くして、場所を下の口に変えたような感じだ。
 あるいは、ちょっと汚い話ではあるけれど、何日か便秘した後のお通じの時も似てるかもしれない。〈排出〉と〈挿入〉、ベクトルの向きは正反対だけれど。
「う……ぅ、くぅぅ……んっ、んん……あ、はぁぁっ」
 最初の激しい痛みのピークが過ぎたところで、大きく息を吐く。
 これならなんとか、我慢できそうだ。
 少しだけ、状況を把握する余裕も出てくる。
 入口から、いちばん深い部分まで、膣全体が内側から押し拡げられている。身体が、太い杭に貫かれている。
 その杭の正体は、お兄ちゃんの分身。
「全部……入ったぞ、愛梨……」
 耳にかかる息が熱い。
「わかるか? ひとつにつながってるの」
「……うン…………すご、イ……こんなの、初めて……」
 かなり痛くて。
 なんだか苦しくて。
 でも、なんていうんだろう。
 すごく……〈満たされている〉感覚だった。身体も、心も。
 お兄ちゃんが私の中に在る。
 お兄ちゃんとひとつにつながっている。
 お兄ちゃんに貫かれている。
 お兄ちゃんとセックスしている。
 挿入された瞬間の激しい痛みは、つまり、ロストバージンの痛み。
 お兄ちゃんを相手に、初体験してしまった。
 お兄ちゃんに、初めてをあげてしまった。
 痛くて。
 苦しくて。
 恥ずかしくて。
 なのに……
 どうして、こんなにも幸せな気持ちなんだろう。
 これまで感じたことのない、充実した幸福感に包まれていた。
「おにぃ……、ちゃ、ん……」
 どうしていいのかわからなくて、このままだとおかしくなってしまいそうで、なにかに縋りたくて、お兄ちゃんにぎゅうっとしがみついた。
 お兄ちゃんも、力強い腕で私を抱きしめる。
「大丈夫か? 痛くないか?」
「少し……だけ」
 本音を言えば「少し」と表現するには少々痛すぎるのだけれど。
 正直に言えばお兄ちゃんは私を気遣って、やめてしまうかもしれない。
 それは、やだ。
 痛いのはいやだけれど、今、お兄ちゃんと離れるのはもっといや。
 痛くてもいいから、お兄ちゃんとつながっていたい。
 私は痛くても、お兄ちゃんには気持ちよくなってもらいたい。
 だから、無理して笑顔を作る。
「でも……大丈夫、だから……」
「悪い。大丈夫じゃないって言われても、もう我慢できねーから」
 お兄ちゃんの身体が動く。
「んあっ……ぁっ!」
 半分くらい引き抜かれて、そこからまた突き入れられた。
 短い悲鳴が上がる。
 もう一回、二回、腰の動きが繰り返される。
 一往復ごとに、力強く、かつ速くなっていく。
「あぁっ! あんっ! あっ、あぁぁっ、あぁっ! んあぁっ!」
 身体の中で、お兄ちゃんが暴れている。
 下半身を、内側から激しくかき混ぜられる。
 ロストバージンの傷がこすられ、また激しい痛みが走る。
 だけどそれは、身体の芯が熱くなるような痛みだった。
 いやじゃない。やめてほしい痛みじゃない。
 痛いのは間違いないのに、もっと感じていたいような、どこか甘美な感覚。
「あぁっ、お兄ちゃん! あんっ、あんっ、ひぃあぁっ! あぁぁっ!」
 ずん、ずん、ずん、ずん。
 リズミカルに打ちつけられる腰。
 おちんちんに中を激しくこすられ、私の口からは絶え間なく悲鳴が上がる。
 腰の動きに合わせた激しい呼吸が、お兄ちゃんも興奮しているんだって伝えてくる。
 身体の中で嵐が吹き荒れているみたいで、もう、どうしていいのかわからない。
 無我夢中でお兄ちゃんにしがみつく。なにかに掴まっていないと吹き飛ばされてしまいそうな気がした。
 脚もお兄ちゃんの身体に回す。ユーカリの大木にしがみつくコアラみたいな格好になって、全身で、これ以上はないくらいに密着する。
 その、肌の触れている部分すべてが感じてしまう。
 どちらからともなく唇を重ね合い、舌を絡め合う。
 そうしている間も、腰の動きは加速していく。
「んっ……んんっ! んぅんん……っ! んふぁあっ! あぁぁぁ――っ!」
 ひときわ激しく腰が打ちつけられ、そこで動きを止める。
 私の中で、びくっびくっと大きく脈打つものがある。
 なにか、熱いものが噴き出してくる。
 感極まったように、お兄ちゃんが大きく息を吐き出した。
 身体から力が抜けていく。

 ……シャセイ……したのだろうか。

 すごく……激しかった。
 これが……セックス。
 すごかった。
 とにかく、もう、すごかった。それしかいえない。
 お兄ちゃんにしがみついたまま、私も小刻みに震えていた。
 大きな呼吸を繰り返していたお兄ちゃんが、私を抱きかかえたまま、身体を起こす。その結果、私はお兄ちゃんの上に座って、向き合うような姿勢になった。
 だけど、下半身はまだつながったままだった。身体を動かした時の刺激で、また小さく悲鳴を上げた。
「んっ…………ね、おにい、ちゃん?」
「ん、なんだ?」
「お兄ちゃん……ちゃんと、イった?」
「ああ。すごく気持ちよくて……愛梨の中に、たくさん出しちまった」
「でも、まだ……おっきい、みたいなんだけど?」
 男の人って、射精したらおちんちんは小さく柔らかくなるものではないのだろうか。
 まだ私の中にあるそれは、激しく動いていた時と変わらずに大きくて固くて、中をいっぱいに満たしていて、だから、少し、痛かった。
 だけど、さっきのあの感覚。あれは、射精したんだと思うんだけど。
「一回くらいじゃ治まらねーよ」
 抱きしめて、頬にキスして、そのまま耳元でささやく。
「初めての時と同じくらいドキドキして、すげー興奮してて……愛梨の中、ものすごく気持ちよくて……」
「……ホントに?」
 本当に、私で、気持ちよくなってくれた?
 私の身体が、お兄ちゃんを悦ばせてあげられた?
 だったら、すごく嬉しい。
「ホントに、私の……気持ち、よかった?」
「ああ、これまでにした女の子の中で、愛梨のがいちばん気持ちいい」
「ほ……ホントに? それ、褒めすぎじゃない?」
「いや、ホントに。愛梨のまんこ、スッゲー気持ちいい。自慢してイイぞ」
 自慢って……人に言えるわけないじゃない。
 だけど、嬉しい。
 死ぬほど恥ずかしいけれど、やっぱり嬉しい。
 私が、お兄ちゃんにとって、いちばんいい女の子だということ。
 そして、たぶん、きっと、私にとってもお兄ちゃんがいちばんいいに違いない。初めてなのに、痛かったのに、でも気持ちよかったし、すごく幸せだし。
「気持ちいいだけじゃなくて、客観的にみて愛梨より美人なんて、そうそういないよな」
「……お兄ちゃんよりいい男も、そうそういないと思う」
「愛梨はどうだった? 痛かったんじゃないか?」
「ん……少し、痛かったけど」
 正直に言えば、少しじゃない。
 ただつながっているだけの今も、拡げられているだけでけっこう痛い。
 でも。
「でも……そんな我慢できないほどじゃないし、なんか、こう、お兄ちゃんのが入ってきて……なんか、すごかった。……うん、初めてにしては、気持ちよかったと思うし……なんか、病みつきになりそうっていうか、ぜんぜん嫌じゃなくて」
 指や口でされた時と違って、ただ「気持ちいい」っていうんじゃない。でも痛いだけじゃない。そのあたりの感覚、うまく言えないけれど。
 感想を一言でいうなら、やっぱり「すごかった」となってしまう。
「だったら……もう一回、してもいいか?」
「え? ……う、うん……いいよ」
 まだ、痛いけれど。
 でも、お兄ちゃんのおちんちんはまだまだ大きくて、それはつまり、私に欲情していて、もっとしたいってことなんだろうし、中途半端じゃなくて、ちゃんと最後まで、満足するまでして欲しいと思う。
 それに私としても、したいかしたくないかといえば、もちろんしたかった。
 少しくらい痛くても、そんなの我慢できる。
 それよりも、まだまだお兄ちゃんとつながっていたい。もっともっとお兄ちゃんとひとつになりたい。
 それに、女の子は経験を積んだ方が気持ちよくなれるらしいから、二回目はもう少し気持ちよくなれるかもしれないという期待もあった。
「あっ……ん」
 お兄ちゃんが上体を後ろに倒す。
 私は、お兄ちゃんの上に座らせられたまま。
 ベッドに仰向けになったお兄ちゃんの上にまたがったような体勢になった。
 これって……この体勢って……『騎乗位』っていうんだっけ?
 こんな風に女の子が上になるのって、なんだかすごく恥ずかしい。
 それに自分の体重がまっすぐにかかって、すごく深く、奥の奥まで入ってしまっている。
「ん、くぅん……んは、ぁ」
 お腹の下から、内臓が突き上げられるような感覚。おまんこが拡げられる痛みや、破瓜の痛みとも違う、鈍い痛み。
 今まででいちばん深く入っているのが、自分でもわかる。
 なのにお兄ちゃんは、下からさらに腰を突き上げてきた。
「あぁっっ! やっ……だめっ……そんな……あぁっ!」
 私の小さな身体が弾む。一回目とはまた違った刺激が身体を貫く。
「愛梨も、自分で動いてみろよ」
「そん、な……あっ! ……いきなり……どうすればいいのか、わかんないっ、よ……」
「じゃあまず、腰を前後に動かして。クリトリスをこすりつけるような感じで」
「ン……っ、こ……お? あっ……んぁっ」
 やや前屈みになってベッドに両手をついて身体を支え、いわれた通り腰を前後にこすりつけるように動かした。
「……やぁ……っ! あっ……あっ……ぁんっ! んん……」
 頭ではわかっていても、初めてのことで思うように動けない。下半身を貫く刺激のために、身体がいうことを聞かない。
 だけどこれはすごい刺激だった。自分自身の体重でお兄ちゃんの下腹部に押しつけられたクリトリスが激しくこすられる。
 痛いほどに強く、だけどやめられない刺激。
 その上、私を深々と貫いているものが、身体の中で暴れている。結合部が支点となって、てこの原理で奥にいくほど大きく動いている。
 一回目の、抜き挿しするピストン運動とはまたぜんぜん違う。
 これって、ちょっと、初心者には刺激が強すぎるんじゃないだろうか。
 だけどお兄ちゃんは私の腰を掴んで、動きをサポートするように前後に揺すっている。しかも、その動きに合わせて下から腰を突き上げてくる。
「ああぁ――っ! あんっ! あん! あぁぁっ、あぁぁっ!」
 ぴったりタイミングが合った時に上げる声は、甲高い悲鳴になっていた。痛みのためもあるけれど、それ以上の快感が身体を襲っていた。
 強すぎるほどの、激しい刺激。
 やっぱり、それなりに痛い。
 まだ、挿入だけでははっきり「気持ちいい」とは言い切れない。
 だけど、クリトリスは今でも十分すぎるほどに感じる部分で、そこをこんなに強く刺激されては気持ちよくないわけがない。
 おまんこの中は気持ちいいといってもまだ痛みがある分、それを打ち消そうとするかのように、よりいっそうクリトリスからの快感に敏感になってしまう。
 無我夢中で腰を振り、快楽を貪る。
「いやぁっ! あんっ! あんっあぁんっ! あっあっあぁっ、あぁっ!」
 少しずつ慣れてきて、スムーズに動けるようになってきた。
 ぎこちなさが消えていくのに従い、結合部から突き上げてくる快感はよりいっそう鮮明なものになる。
 こうなると、もう、だめ。
 とめられない。
 これまで感じたことのない快感に夢中になってしまう。
 気持ちいい。
 一回目よりもずっと気持ちよくなってきている。
 痛みが消えたわけじゃない。なのに、その痛みすら気持ちよく感じてしまう。
 そして、もっと気持ちよくなろうとして、できる限りのスピードで腰を振ってしまう。
「やっダメっだめぇっ! あぁぁっ、んっんっ、んぁぁっ! くぅあぁぁんっ……んあぁぁぁ――っっ!」
 また、来る。
 頭の中が真っ白になる、あの感覚。
 口と指で愛撫されて絶頂を迎えてしまった時の感覚が、さらに強さを増して襲いかかってくる。
「ぁ――――――っ!」
 墜ちていく感覚。
 ふっと意識が途切れて、お兄ちゃんの上に突っ伏すように倒れ込んだ。


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